キーイングミスを減らしたい。  長短点メモリー記憶タイミングを変えるエレキーを作る     2022年秋
 
    
本件ご要望により基板化しました


CWのキーイングミスを減らしたいので、長短点メモリーの記憶タイミングを変えることができるエレキーを作って
効果があるのか試してみた。

1,キーの種類
  縦振れ、バグキー、シングルレバーパドル、スクイズキー、複式 などあるがここでは スクイズキーにつなぐ
  エレキーについて考えてみた。
  
2,なぜスクイズキー(アイアンビックパドルとも呼ぶ)なのか?
  2つのパドルを同時に握れば永遠に長短長短−・−・−・を繰り返すのがスクイズキーだがなぜこれを
  使うのか調べてみた。

  モールス信号を出すための操作数が少ない(出典K7QO)
出す文字  H  C  X  O  アルファベット+数字
 縦振れ  5回   4回   3回   4回  3回  132回
 バグキー  1回  4回   3回   3回   3回   90回 
 シングルレバー  1回  4回   3回   3回   1回   73回 
 スクイズキー  1回  2回  2回   3回   1回   65回 
  これらのデータよりスクイズキーが操作数の点で最も優れている
  シングルレバーは意外とスクイズに近く、どうしてもスクイズが無理な場合
  スクイズパドルでシングルレバー操作をするのも選択肢となる。

3,キーイングミスについて
  ここでは余分な短点が出てしまうとか長点が足りないなどの意図しない信号が出てしまう
  ことを
キーイングミスと呼んでいる。そしてそれを減らしたい。

  バグキーでは短点が多い/少ない、
  シングルレバーとスクイズでは長点、短点どちらも多い/少ないというミスが発生する。

  ミスについては個人の指の動きや身体的能力も当然影響がある。
  どうしてもミスを減らしたい場合は縦振れ電鍵しかないのだが操作数の効率は悪い
  人間がエレキーに対して何を出したいか伝えることができればすべて解決するが
  それはキーボードキーイングでしかできない。

  今回スクイズキーとエレキーの組み合わせで長点メモリー、短点メモリーの動作とタイミング
  からこれらのミスを減らせないか検討してみた。
 
4,長点メモリー、短点メモリー とは
  ワンタッチで「UR 5NN BK」のような文章を出すものではない。

  ●長点(3ドット分のON+1ドット分の休み)出力中に短点側パドルが押されていれば
 それを記憶し、長点出力後自動的に続けて短点を出す。⇒短点メモリーと呼ぶ
  ●短点(1ドット分のON+1ドット分の休み)出力中に長点側パドルが押されていれば
 それを記憶し、短点出力後自動的に続けて長点を出す。⇒長点メモリーと呼ぶ



  このメモリー機能によりキー(パドル)操作が少し融通が利き、
  例えば”R”を出す場合  3番目の短点は3番目の始まりに短点パドルを押している必要が無く、
  2番目の長点中に短点パドルが押されていれば良い。
  
 
    
  このメモリー機能により指の動作速度を落とすことも可能な場合がある。
    
5,しかし
  このメモリー機能は逆を考えると余分な長点、短点を出してしまうことになる。
  また、メモリー機能が無い場合は長点、短点が不足することが発生する。

  ”A”を出したいのに”R”になる → 短点メモリーは不要だ!
  ”R”を出したいのに”A”になる → 短点メモリーやっぱり必要
  ”N”を出したいのに”K”になる → 長点メモリーは不要だ!
  ”K”を出したいのに”N”になる → 長点メモリーやっぱり必要

  メモリー機能が「不要だ」「やっぱり必要」の中間あたりにメモリーの記憶タイミング
  を設定しようというのが今回製作したエレキーです。



6,記憶タイミングのパターン
  長点メモリー、短点メモリーの記憶タイミングのパターンは以下の通り、
  1/2ドットまたは1/4ドットぶんづつ時間をかえたパターンを作った。
  (0から9は設定スイッチの値)



  代表的なタイミング  
    ●長点メモリー:短点出力中の長点パドルチェック期間(記憶期間、受付期間)
     0と9:長点メモリー機能なし。記憶しない。
     1:短点の全期間チェックする
     5:短点の中間以降のみチェックする
    ●短点メモリー:長点出力中の短点パドルチェック期間(記憶期間、受付期間)
     0と9:短点メモリー機能なし。記憶しない。
     1:長点の全期間チェックする
     5:長点の中間以降のみチェックする

   プログラムとしては「チェック期間」にパドルが少しでも押されていればメモリー有とする。

8,結果
  自分の場合は長短どちらも「中間以降のみチェック」の設定が一番合っており
  「短点が足りない/余分」には明らかに改善した。

  長点メモリーの機能なし、短点メモリーのみ有効、という設定も効果があった。
  長短どちらかを止めるという設定もあまり見かけない機能である。

  その他色々なパターンを作ったがその差をうまく表現できない。
  極端に言えば設定は”有り、無し、中間”の3つで良いかもしれない。

  あとはやはり腕、技量、センス、身体能力(指の)、キーイングスピードといったことでこの機能の
  恩恵の受け方が変わるだろう。そして当然だがこれでキーイングミスが完全に無くなるわけではない。

9,おまけ、サイドトーンのデジタル処理
  エレキーにはサイドトーン発振器を内蔵しスピーカーを鳴らしているがこれをアナログ発振器
  で作るといろいろ面倒である。歪、スイッチング、AGCとか電源電圧など......

  以前作ったR-2Rの8bitD/Aコンバータでサイン波を1周期を36分割して作った。
  また立ち上がりとかは1/2、3/4の出力電圧を組み合わせ滑らかな波形とした。
  この部分はあえて別チップとし、エレキー機能と2CPU構成としたがサイン波だけならPWMで
  作る方がポートの節約ができる。
  ただ、凝った割には出来上がった音に感激がなかった。ちょっとぐらい歪んでいても良いという結論。

  回路図はこれ  (これだけでは何も役に立たない)

 
最上段:「R」が出た

2段目:白いところがチェック中

3段目:短点パドル(負論理)

4段目:長点パドル(負論理)

短点パドルが先に押されたので短点が先に出る

長点メモリチェック中に長点パドル押されているので
次は長点が出る。

短点メモリチェック中に短点パドルが押されているので
次は短点が出る。

以降何も押されていないので終わり。


 



最上段:「A」が出た

2段目:白いところがチェック中

3段目:短点パドル(負論理)

4段目:長点パドル(負論理)

短点パドルが先に押されたので短点が先に出る

長点メモリチェック中に長点パドル押されているので
次は長点が出る。

短点メモリチェック中に短点パドル長点パドルの
両方がOFFなので次は何も出ない。終わり。



 
最上段:「A」が出た

2段目:白いところがチェック中

3段目:短点パドル(負論理)

4段目:長点パドル(負論理)

短点パドルが先に押されたので短点が先に出る

長点メモリチェック中に長点パドル押されているので
次は長点が出る。

短点メモリチェック中に短点パドル長点パドルの
両方がOFFなので次は何も出ない。終わり。


 
こんなサイン波を作ったが

良さがわからない。



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