248GHzトランスバータを作る                         2021年春
 
もうへとへとだけどあとちょっと、さらなる高みを目指して248GHzのトランスバータを作った。

目標 135GHzと同じ
1,送信出力がスペアナで見えること。それ以外は何も求めない。
2,免許を申請し取得すること。

構成 135GHzと同じ
ヘテロダイン式とする。
周波数関係は「アンチパラレルダイオードを使った偶数逓倍のハーモニックスミキサ」とする。

さてここからが大問題。
135GHzを作った時、逓倍数は6が妥当だろうと予想は立てたのだが
 (248.0GHz-1260MHz)/6=41.123GHz
とした場合41.123GHzで+20dBm近い電力を得ることができない。
(Dieを買ってきて自分でボンディングできれば別だけど)

さてこのあたりの周波数で+20dBm近く出せるものはと考えたところひとつだけ思いつきました。
一時ジャンク品で大量に出回った39GHz用逓倍器、CMA382400AUPです。
出力39GHz付近で1/3または1/4の周波数を入れると+20dBmが得られる物です。
電源は+5Vと+8Vを用意すれば良いだけで使うのは楽です。
ただ重大な問題があります。39GHz用なので41GHzはダメ、上限に関して40.7GHzはOKというような
ドイツの文献を見ましたが、JA1ATI氏がマイクロウエーブプログレスリポート2014に書かれた記事を
見る限り40.4GHz程度かと思われます。

現物2個でいろいろ試したところ、ドライブ電力を多めにすれば40.35GHzで+20dBmは可能だろうという
感触を得て、1/3の13.45GHzで+13dBmぐらいを用意することにしました。
ジャンク品をギリギリの使い方をするのは好きではないけど仕方がないのであきらめます。

さらにここからもう一つ問題、
248.0GHz−13.45x3x6=5.9GHz   そうです、IFが5.9GHzになるわけです。
40.35GHzではなく40.0GHzとすれば39GHz逓倍器は安定方向になるがIFが8GHzになるわけです。

ここで考えた
1260MHz→5900MHzのトランスバータを248GHzのトランスバータに内蔵し2段変換とすれば
1260MHz→248.0GHzとなるわけです。
5900MHzトランスバータはフィルタ類が入手しやすく作りやすい、もし8GHzのトランスバータだと
フィルタを自作するとか面倒な問題が出てきて結局第2IFは5900MHzとしました。


これらから
 1,1260MHz⇔5900MHzトランスバータ、出力+13dBm最大
 2,13.45GHz局発、出力+13dBm
 3,13.45GHzx3x6+5900MHz アンチパラレルダイオードハーモニックミキサ
 4,1200MHz IF回路
を用意することとした。


 
1260-5900MHzトランスバータ

トランスバータ回路図
局発2逓倍回路図
コントロール回路
ADF4351 PLL基板

ADF4351で2320MHzを作り2逓倍、1260MHzと混合
MMICとWIFI用?小さいフィルタで作った。

ADF4351のクロックは12.8MHzVCTCXOにした。
 


13.45GHz局発

ZLPLL 14Gで13.45GHzを発振、HPF、さらに1段アンプ。
+10から+15dBmを得る。

クロックは10MHzのOCXOを使った。
すばらしい性能。





   
CMA3824000AUP 3/4逓倍器

本来は39GHzで+20dBmを出すのだが
無理やり入力13.45GHz、出力40.35GHz
という使い方をする。
入力レベルを増やすことで出力を+20dBm
得られた。

電源回路はこちら


 

ミキサはいつもの通り。
図面はこれ

ダイオードはMA4E2039



 
最終版と写真は少し異なるがこんな感じ。

CMA382400AUPの取付穴に合わせる。
当然導波管のサイズも。


アンテナはケーキ作りのクリームを絞り出す口金



 


ケースに入れまとめた

底には1200MHzIF回路と5900MHzトランスバータ
が配置されている。



 


弱いながらも出てきました。

しかし再現性がよくなかったりまだまだ。




        総括
スペアナの画面で信号は確認できたので目標は達成したが

製作中のメモを見ても他のいかなるバンドよりも難しいということが書いてある。

もう少し出力レベルがほしい!   再現性が乏しい、もう少し安定に!

248.01GHzの信号が出力導波管ではなく、基板の厚さの隙間(0.1mm)からの方がよく出る。

思うに、LOとIFが混合され得られたものがどうすれば導波管に効率よく導かれるかだと思う。

現状の寸法では無理があるかもしれない。
導波管への結合がよろしくない。プローブで結合とか考えないとだめ?

とりあえずこの状態でひと段落とします。


免許
いつもの通り変更申請書、事項書、工事設計書、送信機系統図をつくり申請した。
結果はこれ、無事免許された。






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