135GHzトランスバータを作る                         2021年春
 
だいぶ息切れしてきたがあと少し、さらなる高みを目指して135GHzのトランスバータを作った。

目標
1,送信出力がスペアナで見えること。それ以外は何も求めない。
2,免許を申請し取得すること。

構成
 ヘテロダイン式か逓倍式かどちらにするか?
●逓倍式:
   送信出力が大きく取れる。バラクタダイオード推奨
   逓倍なので送受の周波数関係が複雑になる。送信は乗算、受信は引き算
   対策として分周して逓倍とか方法はあるが複雑、また送受でも周波数関係が異なる。
   などあるが遠距離通信向けかと思う。
●ヘテロダイン式
   一つの局発で送受できるので周波数関係が明解。
   送信出力を大きくするのは増幅デバイスが無いと困難。

今回はヘテロダイン式とする。出力は小さくて良い、Mixerひとつで出来そうなので。
周波数関係は「アンチパラレルダイオードを使った偶数逓倍のハーモニックスミキサ」とし、
局発が+17dBmから+20dBm必要なのだがそれが実現できそうな周波数は?
というと局発は22.3GHzとしその6逓倍+IF(1200MHz帯)とする。
アンチパラレルダイオードを使った偶数逓倍ハーモニックミキサは局発の漏れを抑圧できるので。
少ない逓倍数の方が有利だが2倍とか4倍だと局発でパワーを求めるのが困難な周波数となってしまう。

22.3GHzx6+1280MHz=135.08GHz が目標。
当然逆ヘテロダインとか異なる逓倍数での+−など子供はたくさん生まれるのは承知している。


局発について
 昔作ったOCXO(92.9MHz)24逓倍器、5逓倍器 を使って11.150GHz +10dBmぐらいを作っている
  11.150GHzはATTを通して2逓倍器(ebayで売っていた)に加え、22.3GHz +10dBmを得ている。

 自作OCXOは再調整したのだが、なんかやたらにおかしな誘導を受けており信号の純度が悪化、悩んだ挙句
 5逓倍器までまとめてアルミホイルで包み、さらにアルミシャーシに入れている。
 精度はどうでも良いが、安定度は0.1PPM以下にはなっているようだ。

 次段22.3GHzアンプは下記へ

ちなみに1200MHzのIF回路はこちら

 

FHX35LGを3個で+17dBm以上を得ている。

回路図はこちら。
KUHNE DB6NTの基板を使っている。
1990年前後のDUBUSに発表されていたもの。

入力はSMA、出力はWR-34導波管出力


 
ミキサブロック

図面はこちら。

基板はRogers RT/Duroid 5880 0.125mm テフロン基板
パターンは片面のみ、裏面は溶かす。自分でエッチングした。

SMAはIF(1200MHz)


回路図もどきはこちら。

     
導波管入力はWR−34で22.3GHzを入れる。

M2ネジはバックショート調整用。



     基板にはダイオードはMA4E2039を実装する

バックショートの穴から照らしてみた。

とりあえず穴の中心にダイオードがくるように。



   

22.3GHzアンプとミキサブロック

これだけです。

これで外部ミキサをつないだり近づけたり探るわけです。

バックショートの調整とダイオードの位置ぐらいしか
動かせるパラメータが無い。

なぜかHSCH9251を何個か飛ばした。いよいよ在庫がなくなり
MA4E2039を使っている。

   

ケースに入れてみた。

アンテナが無いと格好悪いのでシャパレルホーン
を付けてみた。

本当はケーキ作りのクリームを絞り出す口金。
真鍮にニッケルメッキの穴径0.4φにフランジを
ハンダ付けして1.6φのドリルを通す。


   

 試行錯誤の末得られたのがこの画面。
もう充分でしょう。



教訓として局発の安定度は絶対重要です。
0.1ppmで13.5KHzだからそれ以下を目標としないと
画面のスパンが狭い時弱い信号を見つけられなくなります。
もちろんスペアナの周波数安定度も必要です。



       
重要な考察

出力は1.6φ円形導波管なので22.3GHzの2倍4倍は弱まっているのだが、
重要なことは8倍波の178.4GHz±1.2GHzが弱いながらも見えた。
しかし10倍の223GHz±は見えない。

このことは249GHzトランスバータを作る上での構成を考える重要なヒントとなった。すなわち
  24GHzx10±IF ---- 無理と予想される
  31GHzx8±IF ----- これも厳しそう
  41GHzx6±IF ----- このくらいなら何とかなりそう
とは言ってもこれを実現するにはさらなる困難が。。。。。。。 249GHzトランスバータ編で。

スプリアスについて
出力は1.6φ円形導波管としたことでHPFを構成し、5倍波(112GHz)以下は減衰が期待できる。
7倍波以上は送信出力の6倍波よりロスが多くレベルは低い。
6倍波はアンチパラレルダイオードのハーモニックミキサとすることで局発は送信出力より低い。
6倍波−IFはバックショートの調整や導波管のつなぎ方で下がる。
必要な送信出力の6倍波+IFは50μW以下でこれ以外のスプリアスはそれより低いわけで
スプリアス基準(50μW)を満足しているはずである。→参考

受信は
スペアナの外部ミキサにおいてスパンをゼロとすることで、スペアナのLOの高次逓倍出力がでてくる。
本機でもセンターを134.6588GHzとすることでLO7.5GHzの18倍波が強力に受信できた。

免許
いつものとおり変更申請書、事項書、工事設計書、送信機系統図をつくり申請した。
結果はこのとうり無事免許された。






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